認知症になると銀行口座が凍結される場合がある

認知症患者の数が年々増加している。
それに伴い、金融資産を凍結される人も増加しているようだ。
三井住友信託銀行によると、2030年までに関西だけで26万人、約9兆円もの金融資産が凍結されるおそれがあるという。
金融資産が凍結される理由
銀行は預金者本人が認知症になっていると判断すると、金融資産を凍結する場合がある。
詐欺や相続問題のトラブルを防ぐためだ。
このことを知っていないと、祖母や祖父、あるいは両親が認知症になったときに困ったことになるかもしれない。
認知症の祖父のお金を介護費用にあてようとしたら・・・
Aさんはある日祖父の家の近くの市役所から連絡を受けた。
「あなたの祖父が認知症みたいで、家がごみ屋敷になっている。どうにかしてほしい。」
Aさんが急いで祖父のもとに向かうと、家はごみ屋敷となっており、祖父もコミュニケーションが取れない状況だった。
介護入院が必要だと判断したAさんは、祖父の預金通帳と印鑑を持って銀行へ行った。
そして窓口で「祖父が認知症になっている。この口座の預金を介護費用に使いたいです。」と言ってしまった。
その後、銀行側に口座を凍結され、Aさんは祖父の預金を引き出すことができずに困り果てた。
という話が実際にあるとのこと。
こんな状況になる前に
親族内で介護が必要になった時にどうするか、金融資産をどのように引き継ぐかを事前に相談しておく必要がある。
・成年後見制度・・・ひとりで決めることが心配になったときに代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度
・家族信託・・・自分の老後や介護時に備え、保有する不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理・処分を任せる財産管理の方法
・生前贈与・・・生きている間に財産を配偶者や子、孫などに贈与すること
などの方法で、あらかじめ取り決めをしておくといいだろう。
親(祖父母)のことを思うなら
実際に問題が起きてしまってからでは、対処できない可能性もある。
家族のことを思うなら、話し合いができるうちにしっかりと決めておこう。